PMSの治療として処方される西洋薬は、主に「低用量ピル」ですが、その他の症状がある場合ではその症状に応じて薬が処方されます。頭痛や生理痛などの痛みがある場合は鎮痛剤などの痛み止め、そして精神症状が強い場合は抗うつ剤などの向精神薬が処方されます。薬を飲むことで、つらいPMS症状を一時的に回避することはできますが、ピルや向精神薬は、その薬の効能よりも副作用が強く出てしまうケースも多く注意が必要です。

●低用量ピルの特徴と効能

ピルはもともと避妊を目的として開発された薬で、女性ホルモンが含まれています。ピルに含まれる女性ホルモンの作用で、排卵を抑制し、妊娠している状態に近くします。避妊以外の目的として、PMSや婦人科系の疾患に対しても処方されます。現代西洋医学ではPMSは月経前に起こる女性ホルモンのバランスの乱れが関与していると考えるため、低用量ピルを服用することで排卵を一時的に中断させ、女性ホルモンの分泌を低下させることが目的です。

PMS症状の強い場合では、低用量ピルの副作用が強く出る、または症状が悪化する場合があります。

また、ピルに含まれる女性ホルモンには血液を固める作用があり、血栓を作るリスクが3～5倍に上昇することが分かっています。ピルは安全性の高い薬とされますが、その一方で日本人にはデメリットの方が大きいことも指摘されています。

医師と相談のうえ、服用をするかどうかの正しい選択が必要です。

●心療内科や精神科で処方される薬の特徴と効能

精神薬と呼ばれる心療内科や精神科で処方される薬は、「抗精神病薬」「抗うつ薬」「抗不安薬」「睡眠薬」「抗パーキンソン薬」「気分調節薬」の6種類あります。このような薬は、アルコールやドラッグなどと同様に、副作用や依存性があることは、基礎知識として知っておく必要があります。

下記は、PMS症状に使われる抗不安薬や抗うつ薬についての説明です。

ノルアドレナリンやドーパミンを抑制する抗不安薬は、ソラナックス、リボトリール、メイラックス、ワイパックス、レキソタン、セルシンなどがあります。

このようなベンジゾアセピン系は効き目が早く出る一方で、依存性が強く、断薬の際の激しい離脱症状が生じることが知られています。筋肉の緊張をとりのぞく作用があるため、イライラや不安感などを軽減することを目的としています。衝動的な自殺の危険性を高める危険性や、薬物依存を避けるために、ベンゾジアゼピン系の服用は最大で30日までの期間が目安とされています。眠気や集中力低下、ふらつきなどの副作用と関係するため、運転前の服用は控えなければなりません。

抗うつ薬は、脳内のセロトニンの取り込みを阻害することで、セロトニンを増加させる作用の薬です。その化学構造や作用機序によって、古いものから「三環系」「四環系」「SSRI」「SNRI」「NaSSA」の5つのグループに分けられます。抗うつ薬には依存性の心配はありませんが、副作用はあります。抗うつ薬の副作用として不安・焦燥感や衝動性が高まるなどがありますが、その方の健康状態や薬物の代謝能や感受性、そして年齢などが複合的に影響するため、個人差があります。

一般的な副作用は、口が渇く、便秘、眠け、胃腸障害、頭痛などがあります。